夜に浮かぶヘビイチゴ

nazumiの、のんびりマイペースなゲームや本の感想。

魔法のカクテル~彼らが最後に唱えた願いとは~

こんにちは、nazumiです。

読書は相変わらず週1冊ペースで、毎日ゆっくりゆっくり読んでいます。Twitterもやっていますが、年100冊200冊普通に読まれる猛者がゴロゴロいまして、凄いなぁ…自分もこれだけ早いペースで読めたらいいのになぁ…と常々思っています。

でも、中には私と同じ位、もしくはそれよりも遅い『遅読』の方も多くいまして、なんだか少し安心…(>_<)ほっ笑

人の個性と同じように、本を読むペースも人それぞれ違っていて良いと思います。

(#^^#)本を好きな気持ちは同じだから!

 

 

 

さて、今週は、ミヒャエル・エンデの『魔法のカクテル』を読み終えました。前回読んだエンデ作品は、『鏡の中の鏡』…副題の通りまさしく『迷宮』。感想を書くことすら難しい超難解作品でしたが、今回はいかがでしょうか?

 

ーカクテルの中のカクテルよ、私の願いをかなえておくれー

 

☆ストーリー

晦日。一人の魔術師は頭を悩ませていた。

現在、午後5時。新年まで残り7時間。

あと7時間で、多くの自然破壊の『ノルマ』をこなさないと、契約している『地の果ての闇の大臣』から差し押さえられてしまう。魔術師イルヴィツァーは、叔母のティラニアと協力して、飲めば何でも願いの叶う『魔法のカクテル』を作ってノルマ達成を試みるのだが…

彼らのカクテル作りの阻止しようとするのは、なんと猫とカラス?!

 

 

☆感想

『モモ』のテーマが『時間』ならば、『魔法のカクテル』は『自然破壊』か。強いメッセージ性を感じる物語でした。読みやすさで言うならば、こちらの方が上です。真面目ですがどこか少し抜けている猫とカラスのイラストが描かれた挿絵もとても可愛い。彼らの会話も面白い。モモほど物語に緊迫感はなく、楽しく気軽な気持ちで読めます。しかしそこはやはりエンデ作品、ただの面白おかしい物語では終わらせません。苦労の末やっと完成した魔法のカクテルを飲み、唱える彼らの願いには、ひどく胸が締め付けられました。え、それは自然破壊を求める言葉ではないのかって? それは物語を読んでからのお楽しみに!

 

☆面白いと思ったところ

はてしない物語』では、内容だけではなく、装丁や文字の色等にも力を入れていて感動しました。『魔法のカクテル』でも章のタイトルが、普通とは少し変わっているなぁと感じました。

 

各章のはじめには、時計のイラストが描かれています。午後10時56分、11時8分……これは、あらすじでも示した通り、0時までの時間の経過、つまり魔術師たちが差し押さえられるまでのタイムリミットを表しています! 刻一刻と迫る時間…それまでにカクテル作りを止めなくては! と焦りますよね。

…焦るはずなのですが、猫ちゃんとカラスくんがどうするどうすると、深刻な、でも少し抜けた会話を繰り広げているせいか(彼らは至って真面目ですが!)、それほど緊迫感は感じませんでした…。むしろ好きです笑

 

☆好きな場面

イリヴィツァーとティラニアが四苦八苦するカクテル作りの工程も、私の予想以上に壮絶でした。ここまで大変なのかと。最初の氷やら毒やらを入れたり、貧乏人から搾り取ったお金をいれたり、そら涙を入れるくだりはまだ理解できます。しかし後半になってくると、私達には全く理解できない言葉が出てきたり、終いには4次元に行かないとカクテルは完成できません。

( ゚Д゚)なんだと…とにかくカクテル作りまでの工程が非常に長く、悪用するとはいえ、彼らの涙ぐましい努力には目が離せませんでした。

 

さて、私が好きな場面は、その大変な大変な苦労の末ようやく完成した『魔法のカクテル』にて、二人が願いを唱える場面です。

……ミヒャエル・エンデ。著者自身が浮かびました。これは彼の願いでもあるんじゃないかなぁと思いました。少し涙が出そうに…。エンデの作品は、『鏡の中の鏡』が最も顕著ですが、物語を読んでいると、時々著者がよぎるのです。

『鏡の中の鏡』で、ミヒャエルとエンデが出てきたときは、さすがに目を剥きましたが…笑

 

ラストもとても良かった。エンデの読者を意識したこの終わり方、とても好きです。『モモ』で時間について考えさせられ、『はてしない物語』でバスチアン達と共に冒険をし、『ジム・ボタン』でエンデ作品に魅了された皆さんへ。

『魔法のカクテル』も良作です。ぜひ読んでみてください(#^^#)

 


さて実は今年は、エンデ作品を大体全部読むことを目標にしてきました。

はてしない物語』→『モモ』→『ジム・ボタンシリーズ』(上下巻)→『鏡の中の鏡』 と来て、今回で6冊目でした。次回は『自由の牢獄』を読む予定です。評判も高いので楽しみです!